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可欠ともいうべき陸上の道路交通における安全を図るための重要な三つの原則として、「3Eの原則」と呼ばれているものがあります。この3Eの原則は、人と車の関係における交通の安全と円滑を図るための原則であり、陸上の交通安全の基調をなすものです。
? 交通安全教育(Education)
交通の安全と円滑を図るためには、まず国民の交通に対する無知をなくすこと、つまり教育が重要であるとされています。交通法規を知らない者にはこれを知らせ、交通事故の悲惨さを訴え、安全な交通方法を身につけることを繰り返し、繰り返し教えることであります。例えば、児童・学生を対象とした安全教育であったり、自動車の運転者を対象とした講習等がそれに当たります。
?交通工学(Engineering)
交通工学とは、人及び貨物を安全、かつ経済的に運送するため、道路の計画、通路の設計、並びにこのような場所における交通の運用を取扱うもので、非常に広範な概念です。例えば、交通規制や道路標識等の交通安全施設。信号機の設置等の諸施策により交通の安全と円滑化を図っています。
?交通取締り(Enforcement)
道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため、道路交通法令の取締りを行うことであります。例え安全教育を行い、道路交通環境を整備しても、交通関係法規を守らない道路利用者に対しては、交通取締りを行い、道路交通の秩序を維持する必要があります。5海上の交通安全の基本(4Eの原則)陸上交通の3Eの原則は、「人」と「車」の関係における警察行政の原則であって、海上交通の特殊性あるいは交通機関たる船舶の構造の特殊性を考えた場合、必ずしもこれをそのまま海難防止対策の柱として導入するわけにはいかない面があります。しかし、この考え方は、海難防止に共通する部分を多分に含んでいめと思われるので、海上交通に関し若干の修正を施し、先程の3Eに対した海難防止対策(4Eの原則)を考えてみましょう。
?安全教育(Education)
海上交通における安全教育は、従来専門的職業人である船舶の乗組員が対象でありましたが、近年の海洋レジャーの普及に伴い、陸上での自動車と同じように広く国民を対象者とするように変化してきたと思われます。したがって、国が広く国民に安全意識の普及及び高揚を図ること、また、国が企業者又は企業者が自社の関係者に対して教育訓練を行うという点については陸上交通での場合と共通しているから、そういう意味で「安全教育」はやはり海難防止対策の柱とすることが重要であると言えます。
?交通工学(Engineering)
海上交通での工学と一言えば、陸上での道路の設計、道路の設計及び交通の運用を図るものとしての交通規制や道路標識等の交通安全施設・信号機の設置等の諸施策であるように、港内の航路設定、航路標識の設置、海上作業に伴う航泊禁止区域の設定、その他各種航行規制といったものが考えられます。また、最近は、海上交通においても、狭水道、港湾等の交通の輻鞍に起因する事故の防止対策の科学的思考一船舶の交通を調査解析して適正な航行の原理と、航路港湾の諸施設の改善、将来の対策に反映させる技術分野)の一つとして、コンピュータを活用したシミュレーションが発達しています。特に、この分野で伊勢湾において関係する一例としては、中部新国際空港建設に伴う船舶航行の安全対策を検討するうえで、空港

 

 

 

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